みみの会 on Line

出版・メディア関係者の勉強&情報交換の場、「みみの会」です。93年3月より、26年間(100回以上)にわたって活動しています。

志葉玲さんらに聞く環境と報道

 「ばんばん内情を言っちゃいますよ、匿名ですけど」「マスメディアはね、もうやめちまえよって思います」

 なにやら不穏な空気・・・若手のフリージャーナリスト、志葉玲さんと現役テレビディレクター某さんのおふたりに、環境問題への取り組みや、マスメディアの現状(惨状?)について語っていただきました。会場にはフリーランスのジャーナリストやテレビ関係者がいっぱい。さしさわりのある部分はトーンダウンしてお伝えします。(いや、読み返してみると全然してないんですが)
 「まともな人であればあるほど、見なくなっているんじゃないか。そうすると、バカな人しかテレビを見なくなって、そういう人たち向けの番組ばっかりになっていくと、もう知的デフレスパイラルと言ってもいいんじゃないか。でも、マスメディアは大きな権力を持っているんだから、監視しつつ、育てていかないといけないと思って、最近はいい番組を見たら褒めてください、って言うようにしてます」

 「良質の番組を作りたい人が制作会社に来なくなってきている。面接してみると、もうほとんど、<バラエティが作りたい>とか。前はニュース23とか、NONFIXとか、地味なテーマを最初に持ってくるような番組がありましたけど、そういう番組はなくなったり、制作費が削られたり、難しい時間に追いやられたり。報道ステーションなんかは、(視聴率が)「取れるネタ」しかやりませんから、確かにデフレになるかも」

 「僕は大学でてからしばらくADやっていた時代がありますけど、もう、今で言うワーキングプアというか、ひどかったですよ。暴力もあったし、あんなすえた臭いのするところからいいものなんか生まれっこない」

 「とはいえ、制作サイドでは、応援されるのって嬉しいものです。視聴者の感想を知ることができる機会ってほとんどなくて、感想の電話やメールは、制作サイドだけが見られるウェブサイトに掲載されるので、それは必ず読んでいます。テレビ番組はいろいろな利権で作られているんですが、そういう力に押しつぶされないためのエネルギーは、視聴者からの励ましなんです。実際、ラーメン食べて美味しいです、みたいな番組を作っていたほうが、視聴率は取れるんですよ、環境やってるより。その中で逆らっていくには、応援がぜったい必要なんです」


 志葉さんはイラクレバノンなどでの取材をされていますが、環境問題を追いかける気になったきっかけは、どこにいっても天然資源が紛争の根本にあると気が付いたことだそうです。切れるキーワードがたくさんある話し方をする人です。そして某さんはスポンサーや営業や会社や、いろいろなものに逆らったり、駆け引きしたりして、少しでも番組に伝えたいことを盛り込もうとして必死な様子がうかがえました。

 いつもとまた違う熱気のある会でした。次回のみみの会をお楽しみに!(文責編集部)